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システムエンジニアをしてる私の読書記録と映画鑑賞録

【映画鑑賞】東京物語 小津安二郎

こんにちは。

 

 私は映画の中でも小津映画が好きである。普通の家庭(やや裕福であるが)の物語を取り続けた小津監督の映画好きなのである。

 

 小津監督は,たくさんの映画を残しているが代表作と言えば東京物語だろう。

 なんでも海外の映画ランキングでも上位になることがあらしい。内容としては日本的すぎると思うが,海外でも高評価というのは正直驚きである。この映画のテーマは,核家族化と老いの孤独だと私は思っている。

 

 東京物語は,広島尾道に住んでいる老夫婦が東京の住む子供に会いに上京しに来るところから話は始まる。時は戦後間もない時期で飛行機はもちろん新幹線なんてない。夜行列車で丸一日かけてくるのである。現代で言えば軽い海外旅行くらいの気持ちであると想像してしまう。老夫婦からしたら一世一代の旅なのである。

 東京では,長男,長女,や次男の寡婦である紀子(原節子)などと出会うのである。長男,長女は,実家を出て何年もたち自分の生活・・いや世界があるから親である老夫婦を邪険扱う。一方で血のつながらない次男の寡婦である紀子は大変真心のある親切な対応するのである。また老夫婦からすると子供は都会東京でもっと成功していると思っていたが,そうでもない現実も感じて,在京の友人に愚痴ったりしている。いろいろあり老夫婦は,尾道へ帰るのだが・・・・。

 

 この映画は繰り替えしみているが,思うところが2つある。

 一つ目は,戦後の日本のイメージ。舞台は戦後まもない日本である。私など強化者でしか戦後を知らない。そこにリアルな戦後日本を見ることができる。意外と服装・生活様式は今と大きく変わらない。違うと感じるは,人の親切心や言葉遣いである。正直,現代より戦後の方が良いのでは?と思ってしまうシーンも多い。更に印象に残っているのは,戦中を生きた老人たちが「戦争はこりごりだ」と飲みながら話しているのである。私は,かなりリアルに聞こえた。小津監督も戦争体験者であるから出たリアルかもしれないが,これが当時の人の生の声ではないかと思っている。

 二つ目は,本作のテーマでもある老いの悲しみである。老いは避けれないものである。そして段々と孤独となってくる。ネタバレとなってしまうが,終盤で老夫婦の夫人はなくなってしまい,夫は一人残されてしまう。ここが非常に印象的である子供も遠くに住み,一人となりこの老人はどう生きるのだろうと思ってしまう。そして自分もいずれ一人になるのだろうと感じてしまう。この老人は,夫人がなくなった朝に尾道にある寺から海を眺め帰宅を促されると「今日も暑くくなるぞ」と言いながら家に帰るのである。何年も連れ添った夫人に先立たれつつも気候の話をして日常の会話して,周りに気遣わせない強がりを言っている。このシーンはDVDなどのパッケージにもなっているため有名であるが,とても印象深いシーンとなっている。

 

 少し長くなったが東京物語についての話は以上。

 名作と言われるゆえんは十分にある映画なのでたくさんの人にぜひ見て欲しいものである。